リースの季節にいま思うこと

リースの季節にいま思うこと

11月に入って、今年もリースの季節がやってきました。
どのお花屋さんもクリスマスに向けて忙しくなっていく頃。
私も11月に入り、子どもが寝静まったあとに、
リースの作業に追われてもくもくと手を動かしています。
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この”手を動かす”ということが、
私たち花屋にとって何より重要なことだと、
リースを握る手を見つめて痛感します。

転職して花屋の店員として初めて迎える冬のシーズンは、
先輩のもとで生まれて初めてリースの作り方を習い、
手の動きが鈍くて一個完成させるのに時間がかかりました。
「私はスタートが遅い分、人一倍努力しなくちゃ!」
まだ、お店で商品として出してもらえるレベルではなかったので、
花材を買い取り、家に持ち帰って何度も何度も練習しました。
そうやって過ごすうちにだんだん少しずつ手が慣れていき、
周囲のスピードにも追いつけるようになってきました。
花屋の冬は厳しいとは聞いていましたが、
水かえなどの作業でかじかんだ手でリース作りをするので、
すべての指にあかぎれができて手はボロボロに。
ユーカリや針葉樹のヤニなどで手は真っ黒でした。
それでも、手はどんどん動くようになっていき、それとともに、
「こんな作品を作りたい!」と思いも膨らむようになり、
汚れている手も誇らしいと思えて、
リース作りは大好きな作業の一つとなりました。
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そうして過ごしていた修行時代ですが、妊娠してお店を辞めると、
大きな問題がありました。それは手がどんどん鈍くなるということ。
お店に立っていると日々の作業で当たり前に動かしていた手が、
またパタリと作業がなくなって動かなくなってきました。
「せっかく修行して積み重ねてきたことをゼロに戻したくない!」
そんな思いも重なり、妊娠後期でお腹が膨らみ、
立っていることも、しゃがんで作業することも苦しかったけれど、
ただ手を動かしていたい一心で、一人でリース作りを始めました。
「オーダーメイドで理想のリースを作ります!」
facebookで友人に声をかけると、たくさんの友人が頼んでくれました。
「赤い実が絶対!」という子もいれば、「白っぽい優しいイメージで」
「ハーフムーンが好き」などなど、本当にたくさんのオーダーをいただき、
嬉しく思いながら、一人一人の顔や飾るシチュエーションを思い浮かべて
ひたすら手を動かしてリースを作りました。

そして、迎える今年の冬。
息子を出産して、子育てをしながらどこまで仕事ができるのだろう。
そんな風に漠然とスタートした今年は、たくさんの素晴らしい出会いがあり、
秋には「世界の花屋」もオープンして、ずっと一人でやってきた私に、
支えてくれる心強い仲間ができて、より多くの人にお届けできるようになりました。
手を動かしながら、どんな人がもらってくれるのかな。
もらってくれた人の冬を、心温まるものに彩りたいな。
そんな思いで、一つ一つ心を込めて制作しています。
大好きな草花に触れて、誰かのために手を動かせることほど、
嬉しくて幸せなことはない、そう本気で思っています。

「世界の花屋」ではTilt flower 角田えみさんとコラボレーションした
イスラエルの草花のクリスマスリースを。
http://sekainohanaya.com/
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11月15日〜19日のほぼ日さん主催の「生活のたのしみ展」では、
西畠清順さん率いるそら植物園さんとコラボレーションした、
エアプランツの「育てるリース」をお作りします。
http://seikatsunotanoshimi.1101.com/
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ぜひ、それぞれチェックしてみていただけたら嬉しいです。